本工事は、法面の張りブロックが崩れたことに加えて、道路脇の側溝も経年劣化で折れ曲がって破損している現場の修繕工事になります。
着工前の写真の通りですが、張りブロックのすぐ上(30cm程度の離れ)にブロック積みの塀がある為、限られた施工スペースで、且つ既存ブロックに影響を与えずに工事を実施することが求められる現場です。
上部の既存ブロックが無ければ様々な工法が考えられるのですが、掘削スペースを少なくし、且つブロック塀への影響も与えないやり方を何とか模索する必要がありました。
更には、下部の側溝が既に変形してきて一部折れ曲がってもいましたので、張りブロックだけを修繕するのでは意味が無く、この側溝も併せて修繕しければなりません。
側溝の入れ替えや現場打ち擁壁など様々な案を考えましたが、結論としては最小限の施工スペースで作業をする為に二次製品を使用し、且つ法止擁壁と側溝が一体となっている「法止側溝」を使用するという工法をご提案させて頂きました。
施工状況
幸いなことに、上部のブロック塀は地山の上に載っており安定した状態でした。
張りブロックを撤去しながら矢板を打設することで安定させ、更には後ろ側から塀を引っ張ることで、ブロック塀が前面に転ばないように養生をしながら作業を進めました。
施工延長18mを一度に作業するのではなく、半分に分けて作業を行っています。
一度に工事を行うと、どうしてもブロック塀が不安定になるので、しっかりした方の張りブロックを残し、まずはより壊れている半分を仕上げることで塀を安定させ、その後で残り半分を仕上げることで影響をより軽減することができます。
15cmの基礎砕石の上に、厚さ10cmのベースコンクリートを打設し、その上に法止側溝を設置していきます。
こうしたコンクリートの打設や均し方も、全て自社で施工していきます。
このような擁壁付きの法止側溝を設置して、目地を仕上げて背面を埋め戻して工事完了なります。
この新しい擁壁の天端は、施工前の張りブロックの高さよりも10cm程度高いので、既存ブロック塀をより安定させることも出来ています。
目地はモルタルを充填して仕上げており、背面の埋め戻しや天端の仕上げは全て砕石で行っています。
砕石仕上りにすることで、草が生えてくることも少しは抑制できるはずです。
狭いスペースで、しかも上部の既存ブロックへも影響与えずに作業を行う必要があったため、法止側溝を思いつくまでにかなり悩みました。
この法止側溝を使用したのは弊社としては今回が始めてでしたが、過去の入札で図面を見たことがあったのが幸いしました。
400型の側溝で高さ1.5mの製品を使用していますが、底盤幅は0.87mしかありません。種類は複数ありますが、一番狭い幅の製品を今回は採用しました。
今回の経験を、今後にも活かしていきたいと思います。
多くの皆様のお陰様で、無事に工事を完了させることができました。
本当にどうもありがとうございました。